寒い冬が嬉しくなる音と匂い
小学生だった頃、いまよりも冬が好きだったような気がする。木枯らしが吹けば手は真っ赤になるほど痛くなるし、朝は寒くて布団から出たくなくなったりもする。手足が冷えすぎて、湯船のお湯がとても熱く感じて大騒ぎをしたり。でも、寒さが厳しいと、その真逆にある温もりを夏以上に感じるのが冬だったような気がする。そんなことを、先日大きな灯油ストーブで暖を取ったときに思い出した。僕は小学校時代、教室がストーブで暖められ、暖かな空気が教室全体をすっぽりと包み込み、完全に外界とは違う世界が作り出されて、ゆったりとした時間が流れる瞬間が大好きでした。なぜか教室がひとつの宇宙船になったかのようにも感じられ、事実そんなときは、笑いの絶えない楽しい授業に自然となっていたような気がする。火が燃えさかる音、灯油のかすかな匂い、そしてストーブに乗せられたヤカンがカタカタと揺れ、蒸気をモクモクと吐き出す様子。室温だけでなく、鼻から、耳から、眼からもストーブは暖めてくれる。家に灯油のストーブを置こう。そんな計画を立てました。