
観音ガール、山県をゆく。
すっきりと晴れた日、朝日をたっぷり浴びながら、観音ガール對馬佳菜子と山県を散策します。一通りお寺巡りをした頃には、出勤の時間帯。昔は街道だったであろう道をたくさんの車が走っていました。
観音様がすきだ。
すきというより、だいすきだ。
観音ガール、對馬佳菜子。
ふらっと山県、してみない?という、会話の中で言われるとなんとも言えない友人の言葉に誘われるがまま、初めて岐阜・山県の地を踏んだ。全国の観音様を巡ることがライフワークである私にとって、新しい土地に足を踏み入れること、そしてその土地にある観音様に出会えることは、いつも新鮮で楽しい。
そんな楽しさを打ち消すように、山県に向かうバスに揺られながら、友人は昔見ていたテレビ番組の話をしている。
私は、「ジャンパーソン」というヒーロー特撮番組のことは知らない。
「いま助けに向かう」「まってろ」な、セリフが乱れ飛ぶヒーロー特撮において、主人公がロボット(=ジャンパーソン)でほとんどセリフが無い斬新な番組だったらしい。男子が小躍りする、スピード、パワー、かっこいい武器、乗り物といった要素をすべて備えながら、決めのかっこいいセリフが言えないのである。
そんな友人の話は、いまいち盛り上がりポイントが掴めなかったけれど、私はジャンパーソンを観音様に重ねていた。観音様も話さないのである。
私は観音様を拝むときは、座った位置、斜めから、後ろからといろいろな角度から見てみる。百体あれば百体の表情があって、顔だけでなく身につけている衣や装飾品なども観音様ごとに全部違う。すこし範囲を広げれば、観音様がまつられているお堂につながる道、そこに点在する集落。
そうしたものを全部ひっくるめて、観音様が、それぞれの時代や、どんな変遷を経て、その場所、そのお堂にたどり着いたかに思考を巡らす。
観音様にセリフはなくても、いろんなことを伝えてくれる。まるで、ジャンパーソンにとってセリフが「間」であったり、「うごき」であったりするように。
朝の光がまぶしい岐阜・山県で、今日も素敵な出会いがあった。
また明日も新しい観音様との出会いが待っている。
そう、私は観音ガール。